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書 名未知への痕跡
作 者ブロッホ(エルンスト)/菅谷規矩雄訳
出版社イザラ書房
シリーズ-

memo
【抄・序】
裏表紙
 私が長く思い悩んできた《自同律の不快》について、場所こそ違え、時代を同じうして、エルンスト・ブロッホもまた思い悩み、考察していると、菅谷規矩雄君から教示され、この『未知への痕跡』を読んだ。ここから揺り起される精神の動きの質は、往時、キエルケゴールの『あれか、これか』の断章に接して与えられたところの絶望的希望の微光と似ていて、しかも、外的にも内的にも広く深くなりゆきつつある《存在の時代》における到切点としてここにさらに絶望的努力の永劫性という消され得ぬ陰翳がつけ加えられている。
《人間とは、まだこれからみつけだされるべきなにものかだ。》−これが、私達の時代に掲げるブロッホのテーゼであるが、これはまたのろのろとやってくる未来にも掲げらるべきテーゼでもあるだろう。埴谷雄高


【目次】


【本文】
p2
ひどく わずか

私は、在る。だが私は私を所有していない。それゆえにまず私たちが成る。

眠る

私たちとは、それじたい猶からっぽである。ために外からの刺戟が欠ければすぐ眠りこんでしまう。柔い枕、暗さ、静寂が私たちを眠らせ、肉体は闇と化する。夜、寝つかれぬまま床にいると、それは醒めているというより、居ながらに這いまわり、頑なに身をすりへらしているのだ。そして気づく、ただじぶんだけ、他になにもないとは、なんと不快であることか。


【後記・他・関連書】


【類本】
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