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4-10-br132F-a
書 名マトリョーナの家
作 者ソルジェニーツィン/木村浩 訳
出版社新潮社
シリーズ赤132-F

memo
【抄・序】


【目次】
p7…マトリョーナの家
p73…クレチェトフカ駅の出来事
p173…公共のためには

小品集
p268…呼吸
p269…セグデン湖
p272…鴨のひな
p274…詩人の遺骸
p277…楡の榾木
p278…水に映る影
p279…ネヴァ河畔の都
p281…シャーリク
p282…古びたバケツ
p284…エセーニンの故郷にて
p286…コルホーズのリュックサック
p287…焚火と蟻
p288…山の嵐
p290…オカ河の旅
p293…朝の仕事
p294…私たちだけは死なない

p297…胴巻のザハール
p321…右手
p341…復活祭の十字架行列

p350…解説(木村浩)


【本文】
p281
「シャーリク」
 私たちのアパートで一人の男の子が、シャーリクという犬を鎖につないで飼っている。それは仔犬のころからずっと鎖につながれたままなのだ。
 ある日、私はまだ温かくてうまそうな匂いのする鶏の骨をシャーリクに持っていってやった。だが、ちょうどその時、男の子は運動のためにかわいそうな犬の鎖を放してやったところだった。庭にはふわふわした雪がたくさん積もっていた。シャーリクは、脱兎のごとく駆けだすと、後脚と前脚で交互にころげまわり、鼻面を雪に突っこんで、庭の隅から隅へ駆けまわった。
 私のそばへも一目散に駆け寄り、毛むくじゃらな体で跳びつき、骨の匂いを嗅いでみたが、またさっと駆けだしていった−−腹で雪を分けながら!
《あんたの骨なんか、いらないよ》シャーリクは言ったのだ。
《それより自由をおくれ!》  (完)


【後記・他・関連書】


【類本】
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