書 名 | 名作集-4- |
作 者 | 田村泰次郎・原民喜・木下順二他 |
出版社 | 中央公論社 |
シリーズ | 日本の文学-80(完) |
【抄・序】 |
【目次】 |
p7…肉体の門(田村泰次郎) p32…夏の花(原民喜) p46…夕鶴(木下順二) p64…野狐(田中英光) p84…冥府山水図(三浦朱門) p96…鶴(長谷川四郎) p121…猟師と兎と賭と(きだみのる) p134…伊豆の街道(川崎長太郎) p167…アメリカン・スクール(小島信夫) p195…女中ッ子(由起しげ子) p219…楢山節考(深沢七郎) p255…犬の血(藤枝静男) p289…夜の客(今東光) p307…ガダルカナル戦詩集(井上光晴) p344…谿間にて(北杜夫) p374…蠍たち(倉橋由美子) p406…私の崋山(杉浦明平) p431…童話(なだいなだ) p477…注解 p488…解説(秋山駿) p504…年譜 |
【本文】 |
p335 《粥》 ここにして、これあり。 これぞこの米の粥。 はるばると数千里、 とよあし原みずほの国のみたからが 一と年を汗にまみれて、 磨き上げたる真珠、宝石。 わたつ海の逆まく潮をのりきりて、 いのちに代えて海軍さんの 護り来し神のたまもの。 敵機の下をころびつつ、 雨なす弾丸の中這いつ、 汲みたる水を飯盒に入れ、 爆撃ごとに火を消して、 去りては又焚きつけ、 つとめて煙出さぬ如く、 ねじり鉢巻きして炊きあげたる この味は二つなし。 いささか塩っぱいは 海水にとぎしためぞも。 (わが涙まじりしならじ。) いざ食らえ、 わが戦友よ。 食らわで死にしわが戦友よ、 これぞこの米の粥ぞ。 |
【後記・他・関連書】 |
付録80 「戦後文学を語る」対談:大岡昇平・秋山駿 |
【類本】 |