書 名 | 思想犯罪検挙より送致まで |
作 者 | 山口弘三 |
出版社 | 新光閣 |
シリーズ | - |
【抄・序】 |
【目次】 |
再刊の辞(新光閣主人 上野豪彦) 序(検事 山口弘三) p1…第1編 特高警察 p33…第2編 捜査総説 p55…第3編 検挙 p155…第4編 取調 p191…第5編 捜査事件の処理 p199…第6編 少年及外国人に関する特殊手続 p209…附録 捜査手続書式 |
【本文】 |
p17 司法警察としての特高警察の対象は思想犯罪である。 p20 従て前にも述べたやうに思想犯罪は総て社会運動上の犯罪であると云ふことになるのである。而して現代に於て思想犯罪を構成する社会思想は大多数何等かの意味に於てマルキシズムの所謂階級意識をとりいれたものであって、思想犯罪は総て此の階級意識に立脚すると言い得るのである。 勿論現今問題となる社会思想の総てがマルキシズムであると謂ふのではなく少くともその影響を享け階級の対立と云ふ点に社会問題の重点をおくのである。共産主義に反対する社会民主主義、国家社会主義みな然りである。 唯現今の警察取締上無視し得ないファッシズム運動の中にはかゝる意識は見られない場合が多いのであるが之は衝動的、瞬間的要素が多分であって全く特殊なものとしなければならない。 p165 (1)被疑者尋問 A.尋問の意義 尋問とは、取調の為被疑者、若くは証人をして一定の事項につき陳述を為さしめる強制作用である。同じ強制作用であっても勾留、押収等とはその性質を異にするのであって、勾留、押収等の如く実力を行使して陳述を強制すると云ふが如きことは性質上不可能である。又身体に苦痛を与え間接に陳述を強制すると云ふが如きことも許されない。故に訊問が強制作用であると云ふ意義は単に被疑者の承諾あると否とを問はず一定の場所に於て一定の事項を聴き糺し得ると云ふに止まるのである。 |
【後記・他・関連書】 |
【類本】 |