書 名 | 我が心は石にあらず |
作 者 | 高橋和巳 |
出版社 | 新潮社 |
シリーズ | - |
【抄・序】 |
(カバー表見開き) 内部の暗い奥所へ凹んだいわば凹型の人間を扱うのは、高橋和巳の好んで追求する主題である。ここでは、こうした凹型人間である地味な一知識人が、或る地方の労働組合が自主的な地域連合体を形成してたたかう外部へ、敢えて出てゆき、歩一歩と進み、踏み迷い、そして蹉跌する経緯が描かれている。その内部の凹みから外部の蹉跌にまでわたる推移のなかに示されるのは、現代の厚い知識人層の底辺にまぎれもなくあるひとつの原基のかたちにほかならない。 (埴谷雄高) |
【目次】 |
【本文】 |
p2 我が心は石にあらねば、転ばすべからざるなり。 我が心は席にあらねば、巻くべからざるなり。 −詩経・北風− p3 第一章 1 もし築きあげえたことの成果でものの価値が計られるのなら、私たちの間の愛情はまことに価値寡いものだった。また純粋さというものが、第一に尊重されねばならぬ倫理であるのなら、私たちの関係は、その第一義的な真実にも欠けていたことになる。 |
【後記・他・関連書】 |
【類本】 |