書 名 | アンデルセン童話集-6- |
作 者 | アンデルセン/大畑末吉訳 |
出版社 | 岩波書店 |
シリーズ | 赤132 |
【抄・序】 |
【目次】 |
p5…かけっこ p11…鐘が淵 p19…わるい王さま p25…風は物語る p47…パンをふんだ娘 p65…塔の番人オーレ p77…アンリ・リスベット p97…子供のおしゃべり p101…真珠の飾りひも p113…ペンとインキ壺 p119…墓のなかの子供 p129…農家のおんどりと風見のおんどり p135…「美しいものよ!」 p149…砂丘の物語 p209…訳者注 |
【本文】 |
p25 風は物語る --ワルレマー・ドーとその娘たちの話-- 風が草原の上を吹いて行きますと、草が湖のようにさざなみを立てます。麦畑の上を通りますと、麦畑は海のように大きな波を立てます。これは風がダンスをしているのです。その時、風が話をしているのを聞いてごらんなさい。風はそれを歌にうたっていますよ。でも、その歌は森の木々のあいだで聞くのと、城壁の響き穴や裂けめや割れめのあいだから聞くのとは、ちがった響きを持っています。ごらんなさい、風が空で雲を追って行きますよ。まるで羊の群れのようではありませんか。お聞きなさい、こちらでは風が開いた門のあいだを、ヒュー、ヒュー吹きぬけて行きますよ。まるで夜番が角笛を吹いているようではありませんか。驚いたことには、煙突をとおって暖炉のなかまで吹き込んできますよ。炎がぱっと燃えあがり、火がぱちぱちとはねて、部屋のなかがぐっと明るくなります。おまけに暖かくて、すわって話を聞くにはもってこいです。さあ、風に話をさせましょう。風はわたしたちみんなより、たくさん物語や話を知っていますよ。さあ、聞きましょう。いま、はじめますよ。 「ヒュー! ヒュー! さらば! さらば!」----これは、風が歌の終わりにくりかえす文句です。 |
【後記・他・関連書】 |
【類本】 |