書 名 | 大陸への悲願 |
作 者 | 駒井徳三 |
出版社 | 大日本雄弁会講談社 |
シリーズ | - |
【抄・序】 |
【目次】 |
【本文】 |
p30 私の生家は、滋賀県の琵琶湖の南側で、東海道と中山道との分岐点にあたる近江草津駅から、約一里西に入った湖岸の穴村というところに在る。試しに家系を尋ねて見ると、祖先は遠く二千年の昔、垂仁天皇の御代に、三韓の新羅から来朝帰化したその国の王子天日槍の息子で、天三杵命というのがそれであって、彼はこの穴村を住所と定め、生国伝来の灸点を主とする特殊の医療法を広めた。現に氏神として郷土の人に親しまれている安羅神社はこの天日槍父子を祀るものと、郷土史に載って居る。 この灸点は、わが家先祖代々の家業となっているが、謂わば一種の民間療法であって、その材料として最初は、漆や墨汁を使ったところに、特殊性があった。それが後になって、艾と替ったが、しかし家伝の灸点は、その技術に於て他の真似のできないところがあったと見える。 |
【後記・他・関連書】 |
【類本】 |