書 名 | 記号論理学の原理 |
作 者 | ライヘンバッハ(H)/石本新 訳 |
出版社 | 大修館書店 |
シリーズ | - |
【抄・序】 |
【目次】 |
【本文】 |
p38 トートロジーの定義 トートロジーとは、それを構成している基本命題の真理値がなんであろうと、常に真となる式のことである。 〜 トートロジーは、論理的式という領域を形成している。論理的式は、偽になり得ないという理由で絶対に信頼できる。必然的に真であるというのが論理的式の特徴であるが、それは、トートロジーの構造によって説明される。 すなわち、トートロジーはその真理値が、そこに含まれる基本命題のあらゆる可能な値に対して真となるという構造を具えているのである。このような性質は、綜合的式にはない。したがって、綜合的式は偽となり得る。一方、綜合的式によってある種の情報、すなわち、その式を真ならしめるいずれかの場合が成り立っていて、偽ならしめる場合は成り立っていないという情報が与えられる。すなわち、綜合的式は、その式を真ならしめるためにそこに含まれる基本命題の真理値に課せられる制限について述べている。これに対して、トートロジーはこのような情報を何も与えない。トートロジーは基本命題に何らの制限をも加えないからである。というわけで、トートロジーが与えられても、それが含む基本命題の真理値については、全く情報が与えられないのである。したがって、トートロジーは空である。ではあるが、空という概念は無意味という概念から、はっきり区別されなければならない。トートロジーと矛盾は、はっきり定まった真理値をとり、空ではあるが意味をもつのである。 〜 トートロジーは空には違いないが、何らかの式がトートロジーであるという言明は空ではない。〜 実際、分析的という意味において空である記号の組合せを選び出すのが、論理学に課せられた偉大な任務なのである。 |
【後記・他・関連書】 |
【類本】 |