書 名 | 魔と残酷の発想 |
作 者 | 大島渚 |
出版社 | 芳賀書店 |
シリーズ | - |
【抄・序】 |
【目次】 |
【本文】 |
p35 落日の後に来るものは夜である。擬似主体意識は安保闘争のなかできたえられ、そこで真の主体意識となるべきものであった。しかし安保闘争の敗北はそれをさせなかった、擬似主体意識の層は拡散し、衰弱し、一種奇妙な被害の季節がはじまった。その季節を何と名づけようか。その季節はまだ石原の如き代弁者を持ちえていない。ともかく今はなお夜である。 p148 体制型の英雄像も反体制型の英雄像も、私たちを幸福にはしない。そうした英雄像が求められる時代は不幸であり、またそうした英雄像は私たちを不幸にする。それに対し、私たちは、私たちの英雄像を対置しなければならない。それは変革期の英雄像である。それは、破壊と建設を一身に背負い、否定を通して、未来をさし示すことの出来る人間の姿でなければならない。〜すべての人間が英雄にならなければならないのだ。 p308 率直に言って、私の観たものの中で私にわれ及ばずという感じを抱かせたのは、ルイス・プニュエル「アンダルシアの犬」と、クリス・マルケル「ラ・ジュテ」の二本だけであった。 p312 現実の中に未来を見る眼。これが真に前衛という名に値する作家の唯一の資格ではないだろうか。 |
【後記・他・関連書】 |
【類本】 |