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書 名トーマス・ミュンツァー
作 者ブロッホ(エルンスト)/樋口大介・今泉文子訳
出版社国文社
シリーズアウロラ叢書

memo
【抄・序】


【目次】
p11…第1章 いかに読まれるべきか
p12…第2章 出典。伝記、新刊文献
p18…第3章 トーマス・ミュンツァーの生涯
p153…第4章 ミュンツァーの説教と神学の方向
p311…第5章 結論そして王国のなかば
p315…著者後記
p316…訳注
p323…訳者あとがき


【本文】
p16
だから、歴史は回想だけでよびさませるものではなく、作用の関係や、さらに内歴史的価値関係の諸カテゴリーに加えて、追憶の生きつづけ、追憶に自己と全体とがぶちあたっていること、追憶のもっとも本来的な「再刊」と生産的概観があい寄るのだ。
p112
ミュンツァーの最期を知ったとき、ルターは一日中家に閉じこもっていたといわれる。しかしルターが、たとえそのことばはいかに憎悪に満ちていようとも、この反乱について書くとき、そこではつねにかれがどんなにミュンツァーを恐れていたかがありありと感じられるし、かれが「ざまあみろ」という異様な喜びをもってミュンツァーのことを思い出すつぎの瞬間、ミュンツァーがいまもなお妖怪のように働きをおよぼしながら現存しているという戦慄が、かれの念頭に残ることが、ありありと感じられる。
p240
たしかに迫害する人間が服従することもあるし、悪は、それをやっている人間に劣らずそれと戦っている人間も手をかしてしまうことがある。確かにその理由から、ミュンツァーもまた山上の垂訓から離反したし、外的な事物からおのれが完全にじぶんがぬけ切ったとみなすことはまだできないと感じた。かれは、戦士として、呪いをかけるものとして、みずから進んで罪深いものとなった。もちろんかれの呪いのむけられたひとびととは意味的に異なる罪深さではあるが。なぜなら世界におけるミュンツァーの仕事は、もっと安楽で我慢しやすい平穏さをまず放棄することであり、人間が空中に浮上しないうちに、そしてあらゆる人間同胞にたいしてすくなくともただしい生命にいたる外的な道程さえまだひらかれていないうちに、自己固有の個人的な救済がどうかしてどこからかやってくるのを峻拒することであるから。数知れない名もないひとびとがいまだ悲惨のなかにかきけされつづけるかぎり、無差別の善意も無差別の苦悩も平安も、いや世界にたいする原始キリスト教の無関心さえ、ほかならぬキリスト教の精神によって禁じられる。



【後記・他・関連書】


【類本】
4-7720-0104-2/
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