書 名 | (日本の子どもの遊び)鬼遊び |
作 者 | かこさとし・永田栄一 |
出版社 | 青木書店 |
シリーズ | - |
【抄・序】 |
【目次】 |
p3…1.鬼遊びと子ども(かこさとし) p29…2.鬼遊びの実際(永田栄一) p183…3.子どもの発達と鬼遊び(永田栄一) p203…あとがき(かこさとし・永田栄一) p205…遊び名索引 |
【本文】 |
p6 人間行動の基定基本 〜 子どもは生後約一年ぐらいで、つかまり立ちやハイハイで鍛え学習した力によって、立って歩くようになります。人間を他の生物と区分する特徴として「直立二足歩行」ということが強調され、あるいは「自立」ということが重視されますが、そうした観点からいえば、この「歩きはじめ」は特筆されるべきと思われます。 しかし、「歩きはじめ」の子は、やがてまもなく「走る」ことができるようになります。「歩行」と「走駆」の差は、単にスピードの遅速だけではなく、子どもの成長と運動機能からみて大きな段階があります。それは「歩く」ことは両足のうちいずれかが地面と接しているのに反し、「走る」」ことは両足とも地面を離れる瞬間があるということ、換言するなら「跳躍」という状況を含んでいるということです。 〜 十分な走りというのは部分的な運動がよい状態であるのではなく、体全体が有機的に連携しあって、総合動作として機能的な走る状態にあることです。この状態ができるということは、脳が統合的な働きをしていることを示します。 〜 以上のように人間という生物の実生活につながる脳の基礎の働き、基定項目を個々の子どもの発達の状況に応じて確保することをせずに、親や大人の立場で技能や知識をつめこみ訓練するときの弊害と結末は、すでに実験済みのことでしょう。「走る」ということは、こうした脳の統合的な働きを示す重要な運動機能の基本であり、「鬼ごっこ」はその楽しい習得につながっているということです。 |
【後記・他・関連書】 |
【類本】 |